保険会社が社内の IT 自動化により 7 万時間分の作業を削減

Blue Cross and Blue Shield of North Carolina (Blue Cross NC) は、よりよく、よりシンプルで、より安価に利用できる医療の実現を目指して保険事業を展開しています。このビジョンのもと、同社は IT の内製化 (社内化) に移行し、Red Hat の Kubernetes、コンテナ、および自動化テクノロジーを活用して適応性に優れた IT 環境を社内に構築し、自動化しました。さらに、Red Hat の技術エキスパートからの支援とトレーニングを受け、効率性を強化し、プロビジョニング関連のコストを削減しました。その結果、同社はわずか 2 年で 85 万米ドルを超えるコストの節約と 7 万時間分の作業の削減を実現しました。

イメージコンテナ


メリット

  • 高コストな外部のマネージドサービスから新設した社内 IT チームへの切り替え
  • VM のプロビジョニングを自動化し、7 万時間分の作業を削減
  • 組織全体にアジリティ重視の意識が定着

応答性の高い IT で優れたケアとデジタルサービスをサポート

医療保険会社の Blue Cross and Blue Shield of North Carolina は、継続的な改善による利用者とコミュニティの健康と福祉の推進に取り組んでいます。

Blue Cross NC のテクノロジー・インフラストラクチャ担当ディレクターである Petar Bojovic 氏は、次のように語ります。「医療サービス提供者は提供したサービスの量や種類ではなく、患者の治療効果に基づいて料金を支払われるべきだと考えています。私たちはこのアプローチを採用するにあたり、サービス提供モデル全体を変革し、データに基づく意思決定ができるようにしていく必要がありました」

制御性と応答性を強化してこの移行に対応するため、同社ではまず、パブリッククラウドのアプリケーション環境を導入し、再利用可能なリソースと効率的な自動化プロセスによる、特定プラットフォームに依存しない運用を目指しました。しかし、外部プロバイダーが提供するマネージドサービスを利用していたときには迅速な対応ができず、可視性も得られない上、コストが増大しました。

Bojobic 氏は言います。「デジタル、モバイル、セルフサービスが主流になった今、ビジネス価値をいち早く提供し、追加できる IT のあり方を検討しました。たとえば、自動化を進めれば、それだけ多くの価値と競争優位性を構築することが可能になります」

Red Hat のソフトウェアとサービスでコンテナベースの環境を構築

Blue Cross NC は Red Hat Open Innovation Labs を活用し、IT のパフォーマンス要件を満たす適切なアーキテクチャとアプローチを見出しました。これには、社内 IT ソリューションに注力して制御性を高めることも含まれました。

同社は新しい環境を Red Hat Enterprise Linux 上で動作する Red Hat OpenShift を基盤に構築しました。Red Hat OpenShift は Kubernetes コンテナ・プラットフォームであり、自動化機能を備えているほか、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドクラウド・インフラストラクチャなどの各種インフラ間に一貫したアプリケーション基盤を提供します。 

Bojovic 氏は言います。「Red Hat OpenShift を選択したのは、コンテナの重要性とハイブリッド環境での運用の必要性を認識していたためです。ワークロードのモビリティが得られるので、基盤としているアーキテクチャに関係なくアプリケーションをどこでも実行できます。Red Hat のエンタープライズ向けオープンソース・テクノロジーを利用することで、ベンダーロックインも回避できました」

さらに、Blue Cross NC はヒューマンリーダブルな Playbook を使用して OpenShift の自動化機能を強化できるよう Red Hat Ansible Automation Platform をデプロイしました。Red Hat Smart Management ではバージョン管理やセキュリティ、コンプライアンスなど、同社の新しい環境の包括的な管理を行っています。

Blue Cross NC は、Red Hat テクニカル・アカウント・マネージャー (TAM) からの OpenShift のデプロイの支援、および Red Hat コンサルティングと Red Hat トレーニングからのガイダンスとトレーニングを受けて、メンバー用のサービスサイトである BlueConnect をはじめとする 110 のアプリケーションを本番環境にデプロイしました。また、アプリケーション・プログラミング・インタフェース (API) やコンテンツ管理プラットフォームなど、非本番環境の 140 のアプリケーションを新たなコンテナベース環境に移行しました。

「物理環境から完全仮想化への移行、インフラストラクチャのデプロイ、100 を超えるサービスのコンテナへの移行を 3 年とかからずに実行し、 IT をリセットできました」と Bojovic 氏は語ります。

効率的な社内ワークフローとデジタルエクスペリエンスへの移行

エキスパートによるサポートとトレーニングで社内 IT チームを構築

Blue Cross NC では、熟練した技術専門家の支援を得て Red Hat テクノロジーを導入したことにより、マネージドサービス・プロバイダーを利用していた業務を社内 IT チームで処理できるようになりました。同社は Red Hat コンサルティングと担当の Red Hat TAM が継続的なサポートを受けていたほか、コンテナおよび自動化の技術に関する Red Hat トレーニングを受講し、さらに Open Innovation Labs 研修で OpenShift 環境の設定方法についてのベストプラクティスを学びました。

「医療保険業界の企業にとって、安定性とセキュリティはイノベーションと同程度に重要です。適切なスキルと姿勢を備えたチームを結成した後、チームがテクノロジーへの投資を最大限に活用するための知識を蓄積できるよう Red Hat が支援してくれました」と Bojovic 氏は語ります。

VM のプロビジョニングを自動化して 7 万時間分の作業を削減

新環境に移行する前の Blue Cross NC では、仮想マシン (VM) やサーバーを 1 つプロビジョニングするたびに 20 時間 (およそ 10 営業日) 以上の作業が必要となり、マネージドサービスのプロバイダーへの料金も発生していました。Red Hat Ansible Automation Platform を導入した現在では、プロビジョニングはわずか 30 分で完了し、追加の費用も発生しません。

たとえば、最近 Blue Cross NC では請求査定および支払者管理コアプラットフォームのリホストを実行するために 1,000 の VM が至急必要となりました。この作業を見積りに出したところ、ある IT サービスプロバイダーからは 12 人の専任スタッフで 16 週間という対応プランを提案されました。しかし同社は Red Hat OpenShift と Ansible Automation Platform を使用して社内リソースのみでこの作業を実施し、3 日とかからずに完了させることができました。これにより節約できた費用は 85 万米ドルを超えています。

Bojovic 氏は言います。「複雑で繰り返しの多い数々のタスクを Ansible Automation Platform で自動化することで、コスト効率の良い、一貫性のある効果的な処理を可能にする IT がビジネス価値を生み出すことを実証できました。最初の 2 年だけでも 20 万の Ansible Playbook を実行し、推定 7 万時間分の作業を削減できました。仮にスタッフの時給が 50-75 米ドルとして計算すると、膨大なコストを節約したことになります」

新たな戦略的アプローチでチーム間のアジリティを向上  

Ansible による自動化とコンテナ技術の導入は、Blue Cross NC の組織文化にもプラスの影響を及ぼしました。繰り返し作業やルーチンワークが減少したため、各チームはイノベーションにつながる動的なプロジェクトに注力できるようになりました。

また、同社における一連のプロジェクトの迅速なデリバリーは、開発、運用、ビジネスの各チーム間のさらなる連携をもたらしました。

「新たな戦略の効果が得られたのは、戦略を全社的に導入できたことによります。自動化は1 つのチームだけが手掛けることではなく、多くのユーザーが参加できる取り組みです」と Bojovic 氏は語ります。「従来のウォーターフォール型アプローチから継続的デリバリーに近づけることで、私たちはより迅速に変更を加え、社内や利用者の要求により迅速かつ効果的に対応できるようになりました」

自動化のイノベーションを企業全体に拡大

Red Hat テクノロジーを活用してイノベーションの新たな機会を見出すチームが増える中、Blue Cross NC では IT の複雑性を軽減しつつ、安定性を強化する重点的な取り組みを計画しています。

Bojovic 氏は言います。「私たちはカスタム製品と市販の製品を組み合わせて使用しており、それには一部のクラウドネイティブ・テクノロジーも含まれます。それで、古くなったソリューションを置き換えつつ、このエコシステムをいかに効果的に機能させるかが私たちにとっての課題となっています。私たちは現在、一度コードを書けばどこででも実行できる機能を実現すべく、AWS (Amazon Web Services) に Red Hat OpenShift をデプロイすることを検討しています」

Blue Cross NC はまた、デジタルサービスや利用者中心のアプローチを支えるインフラストラクチャを継続的に強化していけるよう、Red Hat JBoss Enterprise Application Platform、Apache Kafka、Quarkus (Red Hat OpenShift とネイティブ統合が可能)、OpenJDK などといった Red Hat およびオープンソースのテクノロジーを導入する可能性を探っています。

「私たちは、自動化をインフラストラクチャだけでなく、ミドルウェアから ServiceNow IT Service Management (ITSM) の管理に至るまで、スタック内の他の領域にも拡張していきたいと考えています。週に複数回発生するイベントやタスクはすべて自動化の対象として検討します」と、Bojovic 氏は語ります。「Red Hat と緊密に連携することのメリットは、方向性を決めたら迅速に動けることにあります。今回の取り組みは、弊社全体にとっての変革のプラットフォームとして機能しています」

Blue Cross and Blue Shield of North Carolina について

Blue Cross and Blue Shield of North Carolina (Blue Cross NC) は、よりよく、よりシンプルで、より安価に利用できる医療の実現を目指して保険事業を展開しています。Blue Cross NC は 380 万人を超える加入者とコミュニティにサービスを提供しており、うちおよそ 110 万人は他の Blue Plan (提携している他社の保険サービス) の加入者です。Blue Cross NC は Blue Cross and Blue Shield Association のライセンスを受けて運営されている独立組織です。 bluecrossnc.com



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